2010年02月28日

音景 L 012 銭湯・いらっしゃいまし

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音景

深夜の銭湯に手際よく そして寡黙に掃除をする音が響く
手洗いされたカランの整列した様子は 凛として小気味いい

体の脂は一晩おくと落ちにくくなるので
ここでは 閉店後すぐに浴槽を洗うのだそうだ

手入れに手間のかかる木桶を使っていることからも
衛生管理への意識の高さを感じる

昼過ぎから始められる開店準備
黙々とボイラーに薪が放たれ バシッとはじける音が大きく響く

番台の女将さんが
ここは明治41年から続いているのよ
と笑う

勧められるままに湯を浴びる
夕べのうちに張られた井戸水が まさに「適度」に温められていて
冬の冷えた体にやさしい

番台からのやさしい声と お客さんたちの会話
今は少なくなってしまった 昔ながらの庶民の社交場
裸の付き合いというのは いいものだ

いつまでも残しておきたい風景 音景 銭湯・いらっしゃいまし(L012)


協力:稲荷湯(東京・北区滝野川)


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ラベル:音景 銭湯
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2009年12月30日

音景 L 011 夜廻り・火の用心

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音景

年の瀬もあと僅か

遅い帰宅が続いたが 今年も無事に仕事納め
今夜は我が家で早い夜を過ごす

懐かしい音にふと耳を澄ますと
火の用心の拍子木の音が 師走の夜に響いている

大きくなる音に窓を開けてその姿を探してみるが
ビルに反響する音だけで一向に見当たらない

突然 角を曲がって現れた数人の男たち
ご年配の方々である
町内会か商店街の方だろうか・・・

しばらく寒さを忘れ 通り過ぎるまでゆっくり見守る
遠くなる音に また静寂が重なっていく

思えば子どものときから変わらずに続く声である

いつまでも残したい風景 音景 L 011 夜廻り・火の用心

Directed by Liaison 2009.12.29

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2009年07月27日

音景 L010 暮れなずむ夏の日 〜東京・池上本門寺

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音景


暑い夏の日
池上駅を降りて本門寺を目指す

焼けるように照りつけた日差しが
影の色を徐々に薄くする時間

江戸時代 ここから見えたはずの夕日は
ビルに隠れて 今はもう見えない

けれども 総門をくぐって階段を登れば
樹々からの木漏れ日が 時間をゆっくり巻き戻す

この日は 500もの風鈴が夏の風情に彩りを添えてくれた
やさしくそよぐ風が奏でる音は
とてもやわらかい そして どこか切ない

無邪気な子ども
手を合わせ 何かを祈る大人
ここは 一体どれだけの思いを
受けとめてくれたのだろう

夕暮れに染まる街を 梵鐘がやさしく包む

いつまでも残しておきたい風景
暮れなずむ夏の日 〜東京・池上本門寺〜(L 010)

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2009年02月18日

音景 L009 神楽坂 節分・豆まき

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音景

2月3日 節分

東京新宿神楽坂の毘沙門天(善國寺)の豆まきに行く

最近は節分というと恵方巻き
というのもTVCMのおかげか
関東でも一般的になりつつある

確かに豆まきというのも
家庭ではちょっとやりにくい

鬼役を決めなくてはらないし
まいた豆を食べなくてはいけない

恵方巻きは東北東を向いて
美味しい海苔巻を食べればいいのだから簡単

イベントとしては少しつまらないが
それでも何もしないよりはよっぽどいい

一番簡単で楽しいのは
こうやって家族でお寺や神社の豆まきに参加することだ
毘沙門天の境内も
除災得幸を願う参拝者でいっぱいである

おにはーそとー
ふくはーうちー
元気のいい声が
冬の空に清々しい

次の代に伝えるのはもちろん
自分の心にも響かせたい

いつまでも残したい風景
節分・豆まき (L 009)

協力:宗教法人善國寺

Directed by Liaison 2009.2.18

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2008年08月17日

音景 L008 神楽坂 阿波踊り

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音景

7月26日
東京・新宿は神楽坂の阿波踊りを見物してきた

毎年7月の下旬に毘沙門天でのほおずき市といっしょに行われる
神楽坂まつりの行事の一つである

大きな祭りではないのだが
神楽坂らしい風情があって
ぶらっと行くにはちょうどよい

飯田橋から神楽坂上に続く上り坂を
威勢のいい掛け声とともに たくさんの踊り手が登ってくる様は
なかなか迫力がある

大人に交じり 幼稚園児や小学生の踊り手もたくさんいるのだが
揃いの法被に身を包むと 凛として一人前に見えるから不思議なもの

今年もまた暑い夏だ
普段は暑苦しく感じるセミの合唱も
祭の賑わいに一役かっているように聴こえる(L 008)

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2008年03月08日

音景 L007 東京下町都電散歩 その1

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音景

〜東京下町都電散歩 その1〜

都電を使って下町を散歩してみる
今日は王子から庚申塚あたり‥


およそ100年前に登場した都電
都内に放射状に張り巡らされた軌道敷は全長200km超

連なる軒先 その下に鎮座する洗濯物と鉢植え
それは 車窓というスクリーンに映し出される日常生活

昭和30年代には実に41系統の電車が走っていたらしい
それも 地下鉄の誕生や経営悪化のため40年代には次々に姿を消した

荒川遊園前を降りてぶらっとしてみる

低いホームから降りると目の前には
児童公園を静かに囲む住宅街がある
遊園地の入口までの1分ほどの道には数軒の駄菓子屋などがあり
学校帰りの子どもたちが遊びまわる様子が目に浮かぶ

そのまま荒川遊園地へ
遊園地と言えば大規模なアトラクションが当たり前になっているが
ここはちょっと違い 派手な「遊具」はない 小動物園の趣向さえある
夕暮れどきの静けさが印象的だ

幼児を連れたおばあさんが目につく
都電の全盛期には 我が子を連れてここへ通ったのであろう
孫と訪れた今日の風景とおばあさんの心に残っている風景とは
何が変わってしまっているのだろうか

西へ数駅乗ると「庚申塚」

ここは「おばあちゃんの原宿」と呼ばれる巣鴨・とげぬき地蔵のある街だ
こちらで見かける彼女たちは 生き生きとした表情に溢れている

おばあちゃん一人ひとりの笑顔に なぜかホッとして 心が温まる気がする


通勤・通学で利用する人にとっても大切な交通手段である都電・荒川線
これまでに幾千 幾万の笑顔を乗せたのだろう

いつまでも残しておきたい風景が車窓に映る(L 007)

Directed by Liaison 2008.1.13

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2008年01月22日

音景 L006 ゆく年くる年

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音景

ゆく年くる年

年明け早々、近所のお寺と神社に行ってきた。

冷気の中を小走りに歩くと除夜の鐘が聞こえてくる。
大晦日のうちに107回
最後の1回は年明けにまたがるように撞くのだそうだ。
しかし、深い眠りのない都会の除夜の鐘は
ちょっと風情に欠ける気もする。

神社の方はさらに賑やかだ。
雅楽の音色もおめでたい気分を盛り上げる。

お参りをすませると さっそくおみくじ。
たかがみくじ‥と思いつつも やはり大吉が出ないかと期待する。
見事 引き当てたときには 見ず知らずの人にも言いたくなるはなぜだろう。
定かではないが 正月には「大凶」は出ないと云われている。

幸運の順序は
大吉 > 吉 > 中吉 > 小吉 > 末吉 > 凶 > 大凶 なのだそうだ。

引いたおみくじを持ち帰ったり
境内の木にくくりつけたりと諸説あるが
地域によって作法は微妙に異なるみたいだ。

お寺に神社と節操がないが
子供のころからの習慣だから仕方がない。

粋な振る舞いと感じられる風俗として
後世に残したい風景である。(L 006)

Directed by Liaison 2008.1.22

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2008年01月13日

音景 L005 年の瀬・帰省

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音景

年の瀬・帰省

東京・上野のアメヤ横丁。
ひと駅隣りの御徒町(おかちまち)駅から
JRのガード沿いに400以上の店が軒を並べる。

年の瀬のこの時期は
雑貨店や用品店も店を閉めて間貸しするようになり
買い物客でごったがえす。

年末の風物詩として
新聞やテレビで取り上げられる光景だが
実際に行ってみると
映像や文字では伝わらない人々の熱気に圧倒される。
音声では少しは伝わっているだろうか。

横丁の中でふと気がつく‥。
それはお店の人もお客さんも 意外と若いということ。
威勢のいいやり取りを交わす顔や声に
世代交代の波が押し寄せていることを垣間見た気がした。
うれしいような 少し淋しいような‥。

喧騒を背に人並みに促されるように上野駅に入ってみると
そこもまた帰省の人々でいっぱいだ。
けれども先ほどの熱気とは違う
もっとあわただしいような
それでいて帰省の喜びや安堵感が漂うような独特の雰囲気。
そこに特急列車の到着を告げるアナウンスが耳に飛び込んできた。

ターミナルを出る列車には
さまざまな人々が乗り合わせている‥さまざまな思いとともに。
故郷に向けて遠ざかっていく列車の赤いランプが
夕闇に消えてゆく。(L 005)


Directed by Liaison 2008.1.13

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2007年12月22日

音景 L004 東京浅草・酉の市

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音景

11月23日 二の酉

50万人の人出と言われる浅草のお酉さま・長國寺の酉の市。
江戸時代に今の足立区で始まったと言われ
現在では神仏両方から「商売繁盛」のご利益をと多くの人々が集まる。

参拝のあとに買うのは華やかな装飾に彩られた熊手である。
福を鷲づかみする 福をかき集める ということから
鷲の爪を熊手に見立てて 現在の姿になった。

年を追うごとに大きくしてゆくものとされ
栄華を極めたいと訪れる人々は華美な熊手に願いを込める。

値切る買い手の提示額と売り値との差額がご祝儀として売り手の元へ。
そのご祝儀の分だけ 威勢のいい声とともに「関東一本締め」の手締めが響く。
景気の先行きが混迷する昨今のご時世のためか その音の大きさに強い願いを感じる。

よいお年を‥。
酉の市が過ぎれば東京はもう年の瀬。
来年への夢や希望を胸に、人々はあわただしい生活へと戻っていく。

残しておきたい風景・酉の市(L 004)

Directed by Liaison 2007.12.22

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2007年08月26日

音景 L003 花火大会

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音景

花火大会

この夏 全国でどれだけの華が夜空を彩ったのでしょう

観衆が100万人ほどにもなる大会もありますが
花火とともに 会場の様子を感じていただければと思い
ローカルな「納涼花火大会」に行って来ました

駅から会場までの道のりも平和なもの
カラン カランと鳴る下駄とゆかた姿に 夏の風情を感じます

実行委員会の場内放送とカウントダウン
そのアナウンスには地元ならではの温かみがあります

一瞬きらびやかに踊った光が 川面に映っては 静かに散る
そのたびに起こる歓声や拍手

切なさと感動が入り混じった特別なひと時が
幼いころの夏を呼び起こします (L 003)

Directed by Liaison 2007.8.26

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2007年08月12日

音景 L002 高校野球地方大会

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音景

高校野球地方大会 〜夢中になれたあの頃〜

甲子園のグランドに立つことを目指して
これまで辛く地道な練習を積み重ねてきた
3年生にとって最後の夏

緊張の高鳴る中
予選大会で最後の練習でグランド立つ選手

両チームの守備練習が終わり
グランド整備が始まっている
精一杯のプレイができるようにと
グランドキーパーの丁寧な作業に
大会関係者の熱い夏が伝わってきた

いずれか一方がグランドに涙することとなる試合が
主審のプレイボールを告げる声とともに始まる

情熱と情熱がぶつかり合う音が観客席まで届いてくる
ただの白いボールを投げて打って捕る
それだけのことがこんなに心に響くとは

やがて熱戦も最終回を迎え
スコアボードには2つ目のアウントカウントを示すランプが点灯し
後攻チーム最後のバッターとなるかもしれない選手が
そうはなるまいと打席へ入る

そして ヒッティングの音

応援団の歓声と溜め
息にも似たどよめき

2度目のサイレンが鳴り響き
一方の選手たちの夏が終わる

何かに熱中し一途になること・・・
忘れてしまっていたあの頃を
蘇えらせてくれた球児たちのプレーにエールを送りたい(L 002)

Directed by Liaison 2007.8.12

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2007年07月24日

音景 L 001 東京浅草ほおずき市

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音景

心に残ってるあの風景
思い出だけになってしまったあの風景

便利さと忙しい日常生活と引き換えに身のまわりから消してしまった
過ぎ去りしあの頃の風景

それぞれの事情で見に行かれない風景


音景は そんなシーンを感じてほしくて始めた番組です



東京 浅草・浅草寺 ほおずき市

毎夏 7月9日と10日に開かれる「ほおずき市」

両日の人出は60万人
その多くが浅草寺を参拝し
境内一面に吊されたほおずき
そして やさしく響く風鈴の音に
歩を止める

喧騒の中で繰り返す日常生活を忘れ
澄んだ心を取り戻す 失いたくない風景(L 001)

Directed by Liaison 2007.7.24

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